草木染めで用いる”媒染剤”がどんな効果があるか知っていますか?
どんな種類があって、どんな仕組みで働いているのか知ることで、草木染めをより楽しく行うことができます。
そこで今回は草木染めの媒染剤に着目して、この記事さえ読めば媒染剤について理解できるようにしました。
草木染め初心者の方はもちろん、やったことがある人もより楽しく草木染めをするために知っておいて損はありません。
媒染剤とは
はじめに、媒染剤とはなんなのか簡単に紹介します。
媒染液は記事によって媒染液とも呼ばれています。
媒染剤とは、草木染めに用いられる薬品の総称で、基本的に効果は2つあります。
ひとつが、色を止める効果
もうひとつが、色を濃く発色させる効果です。
この媒染剤の効果については後ほど詳しく説明していきます。
先程媒染剤は草木染めに用いられる薬品の総称と言いましたが、媒染剤には様々な種類が存在します。
用いる媒染剤によって生地の染まり方も違ってくるので、この違いについてもお伝えしようと思います。
媒染剤の仕組み
ここからは少し専門的な話になりますが、媒染剤が働く仕組みについて紹介します。
ではまず、そもそも媒染はなぜ行わせるのかというと、色素と繊維を結びつけるために行います。
植物から抽出した色素と媒染剤はもともと両者とも可溶性の成分で、水に浸けておくと溶けだしてしまいます。
例えば雨に濡れたり、洗濯してしまうと、色素が溶けだしてしまうのです。
しかしこれらが結合することで錯体というものが生成され、この錯体が不溶性となります。
不溶性となったことで、洗濯しても色素が溶けださなくなるという仕組みです。
さらに錯体というものに形態が変化したことにより、元の植物から抽出した色素とは発色も異なります。
元の植物の色と出来上がりの生地の色が異なる場合がよくありますが、これは色素が媒染剤によって繊維と結びついて錯体に形を変えたことで起こる現象というわけです。
媒染剤の効果
先程、媒染剤の効果は色を止める効果と発色を濃くする効果の2つがあると言いました。
これは媒染剤の仕組みを知ればなんとなくイメージが付くと思います。
媒染剤によって繊維と植物色素が結びつくことで色を固定することができます。
さらに不溶性となった色素を繊維内にどんどん留めておくことができるようになるため、発色が濃くなるというわけです。
媒染剤を混ぜる量
媒染剤は濃度によって発色が変わってきます。
薄めの淡い色が作りたいという人は、染める布の重量の5%を水に溶かしてください。
真ん中くらいの中色が作りたいという人は、染める布の重量の10%を水に溶かしてください。
濃いめの色が作りたいという人は、染める布の重量の15-20%を水に溶かしてください。
媒染剤の種類
草木染めに用いられる媒染剤の種類には主に3種類あります。
アルミニウムと鉄と銅の3つです。
媒染剤によって形成される錯体の形状が異なることで、最終的な発色も異なります。
ではこの3種類の媒染液では、染まり方にどのような違いが出るのでしょうか。
アルミニウム(ミョウバン)
まずは最もオーソドックスで後始末も簡単なアルミニウムについてです。
ここでのアルミニウムはミョウバンと同様の効果を示します。
しかし厳密にはアルミニウムとミョウバンは異なりますが、双方がアルミニウムイオン(Al³⁺)を含み、同じ錯体を形成するので効果としては同じです。
アルミニウムは暖色系の色の発色を良くする効果があります。
黄色や赤色や茶色のような色ですね。
染まり上がりの色も明るめに仕上がるので、初めにどの媒染剤を使うべきかわからないという人はアルミニウムがオススメです。
鉄
次に鉄を媒染剤に用いた場合です。
木酢酸鉄や酢酸第一鉄という名前のものはここに含まれます。
鉄を媒染剤に用いると、グレーがかったような全体的に暗めの色を作ることができます。
落ち着いたカラーが好きな方や秋冬のようなパキッとしていないくすみカラーが好きな方にはオススメです。
銅
最後に銅についてです。
酢酸銅や硫酸銅がここに含まれます。
銅はとても綺麗な青色をしており、説明書には茶系の色に発色すると書いてあります。
しかし体感的には、赤みが足されて明るく発色されるように感じました。
アルミニウムよりも強く発色されるような印象です。
媒染剤まとめ
この記事では、媒染剤の効果や種類、仕組みについて紹介しました。
媒染剤は草木染めでおいて、色を固定する効果と発色を良くする効果があります。
また、加える量や用いる媒染剤の種類によって、仕上がりの濃さや色が異なります。
媒染液について詳しく知ったことで、草木染めをより楽しむことができるはずです。